フリーランスも独占禁止法の対象に!背景や違法となりうるパターンを解説

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フリーランス独占禁止法が適用されるようになったことをご存知ですか?
この記事は

  • なぜフリーランス独占禁止法が適用されるの?
  • 独占禁止法の適用によって何が変わるのか知りたい

という方のための記事です。

具体的には

  • 独占禁止法フリーランスに適用されることになった背景
  • 独占禁止法適用により実現されること
  • フリーランス独占禁止法上の違法となりうるパターン

を紹介していきます。

この記事が参考になれば幸いです。

独占禁止法フリーランスに適用されることになった背景


独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることを目的とした法律です。
平成30年2月に公正取引委員会が、労働分野に独占禁止法を適用するための運用指針となる報告書を公表し、フリーランスも独占禁止法の対象となりました。一体なぜ、このような変革が行われるに至ったのでしょうか。

個人で働く人が増加している

クラウドソーシングを行うランサーズ株式会社の調査によると、2017年のフリーランス人口は、前年比5%増の1,122万人。

これは国内労働力人口の約 6 分の 1 にあたり、経済規模は20.1 兆円とも試算されています。
アメリカでは2027年にフリーランス人口が過半数になるという予測も出ており、日本国内においても、今後フリーランス人口が増加するのではないかと考えられているのです。

政府は多様で柔軟なワークスタイルを促進したい

また日本政府は、少子高齢化に伴う労働力不足を解消するために、多様で柔軟な働き方を推進しようとしています。

時間や場所に囚われない働き方であれば労働市場への参入ハードルが低くなり、能力のある人が力を発揮しやすい環境を整えることで、経済の活力も高まるでしょう。
フリーランスの立場を向上させることは、働き方改革の中で重要な役割を担っているのです。

既存のルールでは対応できていない

政府は多様な働き方を根付かせようとしており、実際にフリーランス人口も増加すると考えられていますが、既存の法律だけでは対応しきれていないのが現実です。

フリーランスが企業から仕事を受注する場合、事業者対事業者の契約関係にあたるため、雇用関係が対象となる労働基準法・最低賃金法等の労働法制による保護は受けられません。

大企業と中小企業・個人事業主との間の契約ルールを定める「下請法」もあるのですが、公正取引委員会の山本大輔経済調査室長も「既存のルールで保護しきれない働き手は増える」としているのが現状です。

公取委が事前に行ったアンケートの結果

さらに、公正取引委員会がフリーのライターやデザイナーなど約550人にアンケートを実施した結果によると、不利な取引条件を受け入れている人が少なくないという実態も明らかになりました。

具体的には、以下のような事例が多く挙がっています。

  • 企業側から契約書面が交付されない 約34%
  • 追加作業の費用を負担してもらえない 約37%

その他にも

  • フレックス制での契約なのにフルタイムで働かなければ契約を切ると言われた
  • 事前に知らされていない条件に基づき、何度も作業の修正を繰り返させられた

といった回答もあり、フリーランスが発注者と平等な関係を築けていないことがわかります。

フリーランス独占禁止法適用により実現されること


フリーランスが労働市場で不利な立場にある現状を変えるために、今回の独占禁止法の適用がなされることになったというのは、おわかりいただけたでしょう。

続いて、独占禁止法適用により、具体的にどのような社会的メリットがあるのかをみていきましょう。

役務の価値に合った正当な報酬が支払われる

発注側の企業が他社と話し合い、フリーランスへの発注金額を揃えたり、契約のあるフリーランスにお互い手を出さないでおくと決めたりした場合、人材獲得競争を制限することになり独占禁止法上問題です。

上記のような企業間の話し合いにより、フリーランスへの発注金額が不当に低く揃えられたり、低い報酬額の発注先以外と仕事ができなくなったりするという事態は、ある程度規制することができるでしょう。

現在よりも、フリーランスに対して、役務の価値に合った正当な報酬が支払われるようになると考えられます。

社会全体で人材の適材適所な配置が行われる

独占禁止法の運用によって、取引条件を曖昧なかたちで提示することも規制の対象になるため、フリーランスが不利な条件を後から押し付けられ、泣き寝入りするといった事態も抑制できます。

フリーランスと企業との間で、適正な取引条件や価格の契約がなされれば、労働市場における人材の適材適所も実現できるでしょう。

フリーランスとの契約が独占禁止法上の違法となりうるパターン


最後に、独占禁止法がフリーランスに適用されることで、規制の対象となる行為を紹介します。

ただし、これらの行為はただちに独占禁止法上違法となるわけではなく、個々の取引における事情に応じて、最終的な判断が下されます。

秘密保持義務・競業避止義務

発注者への役務提供を通じて知り得た技術や顧客情報、その他の秘密情報を漏えいしないと約束させる「秘密保持義務」、契約終了後に発注者と競合する者へ一定期間役務提供を行わないと約束させる「競業避止義務」は規制の対象となり得るものです。

ただし、その目的に照らして合理的な範囲で課される場合には、ただちに独占禁止法上問題となるものではありません。

  • 発注者が義務の内容について実際と異なる説明をしたために、役務提供者が義務を受け入れている場合
  • 発注者があらかじめ十分に義務の内容を明らかにしないまま、役務提供者が義務を受け入れている場合
  • 発注者の取引上の地位が優越しており、その義務が不当に不利益を与えるものである場合

上記においては、状況によって独占禁止法上違法となる可能性があります。

専属義務

役務提供者に対して、自らとのみ取引をするよう約束させる「専属義務」も規制の対象となり得るものです。

ただし、その目的に照らして合理的な範囲で課される場合には、ただちに独占禁止法上問題となるものではありません。

  • 発注者が義務の内容について実際と異なる説明をしたために、役務提供者が義務を受け入れている場合
  • 発注者があらかじめ十分に義務の内容を明らかにしないまま、役務提供者が義務を受け入れている場合
  • 発注者の取引上の地位が優越しており、その義務が不当に不利益を与えるものである場合

上記においては、状況によって独占禁止法上違法となる可能性があります。

なお、不当に不利益を与えるかどうかの判断基準としては

  • 役務提供者が、今後事実上移籍・転職ができなくなるほどの程度である
  • 契約期間終了後は再契約をしないとの意向を示した役務提供者に対して、報酬の支払遅延や業務量の抑制などの不利益な取扱いをする
  • 契約期間終了後は再契約をしないとの意向を示した役務提供者に対して、悪評の流布等により取引先変更を妨害し再度契約を締結させたりする

といった程度・行為がポイントとなります。

成果物の非公表義務・成果物に対する権利制限

成果物について自らが役務を提供した者であることを明らかにしないよう約束させる「成果物の非公表義務」や、その他成果物に対する権利制限も規制の対象となり得ます。

なお、その他成果物に対する権利制限としては

  • 成果物を転用して他の発注者に提供することを禁止する(成果物の転用制限)
  • 役務提供者の肖像等の独占的な利用を許諾させる(肖像等の独占的許諾義務)
  • 著作権の帰属について何ら事前に取り決めていないにもかかわらず、納品後や納品直前になって著作権を無償または著しく低い対価で譲渡するよう求める

といった行為が該当します。

役務提供者にとっては、自らが役務を提供したという事実が受注を獲得する上で重要な競争手段となっている場合もあり、このような義務を課すことは、他の発注者との新たな取引を制限する効果が生じると考えられるのです。

発注者による実態より優れた取引条件の提示

不備のある取引条件を提示し契約させることも、独占禁止法上問題となり得えます。

具体的には

  • 発注者が役務提供者に対して実態より優れた取引条件を提示する
  • 役務提供に条件を十分に説明せず、役務提供者を誤認させ、または欺き、自らと取引するようにする

といった行為がこれに該当します。

役務提供者は、発注者が提示する取引条件を正確に理解した上でないと、提供先を適切に決定することができません。また、このような行為は、正しい取引条件を提示する他の発注者にも不利益をもたすと考えられるのです。

その他発注者の利益を目的とする行為

その他発注者の収益の確保・向上を目的とする行為も、優越的地位の濫用に当てはまれば、独占禁止法上問題となる可能性があります。

具体的には

  • 代金の支払遅延、代金の減額要請および成果物の受領拒否
  • 著しく低い対価での取引要請
  • 成果物に係る権利等の一方的取扱い
  • 役務提供者が得ている収益の一部の譲渡の義務付け

といった行為がこれに該当します。

これらの行為はもともと「下請法」によって規制されているため、要件を満たせば下請法が適用されることになります。ただし今回の運用指針の公表により、下請法の要件を満たさず適用できない場合においても、独占禁止法上は問題となる可能性があるのです。

まとめ:独占禁止法フリーランス適用はメリットが大きい


独占禁止法がフリーランスに適用されることになった背景には、個人で働く人が増加し政府も多様で柔軟なワークスタイルを促進しているにも関わらず、現在の法制度がそれに対応できておらず、不当な扱いをされているフリーランスがいるという現状があります。

ただ、今回の運用指針により、独占禁止法がフリーランスに適用されれば、

  • 役務の価値に合った正当な報酬の支払い
  • 社会全体での人材の適材適所な配置

が実現されると考えられており、社会的なメリットも大きいです。

なお、フリーランスとの契約において、独占禁止法上の違法となりうるパターンとしては

  • 秘密保持義務・競業避止義務を課す
  • 専属義務を課す
  • 成果物の非公表義務・成果物に対する権利制限を課す
  • 発注者による実態より優れた取引条件の提示
  • その他発注者の利益を目的とする行為

が該当します。
ただし、これらの行為はただちに独占禁止法上違法となるわけではなく、個別の事情に応じて判断が下されます。

これにより、フリーランスが働きやすい社会が実現されていくことでしょう。

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