フリーランスが法人化すべきタイミングとメリット・デメリット

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現在の日本のフリーランスの人口は1,119万人と言われています。(引用:2018年時点フリーランス実態調査 2018年版(ランサーズ株式会社 )

平成29年の起業者は477万1千人で、そのうち”自営業主(フリーランス)”の 起業者は343万人、”会社などの役員”の起業者は134万1千人となっており非常に多くの方がフリーランスを経て起業、法人化をしている事がわかります。(引用:平成 29 年就業構造基本調査(総務省統計局)

弊社が運営している、フリーランスエンジニアのための案件サイト”フリエンに登録されたフリーランスエンジニアの方うち約2割の方が法人化しており、近年法人を設立するフリーランスの方が増えてきています。

そこで、今回は「自分も法人化したい」「法人化を検討している」という方向けに、法人化すべきタイミングとメリット・デメリットについてご紹介いたします。

法人化の判断基準

法人化の判断基準

この記事を読んでいるフリーランスの方にも法人化したいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、法人化したいと思っていても金銭面の問題などで踏み出せない方が多くいることは確かです。

法人化するときの判断基準はいくつかありますが、重要な基準として課税所得1,000万円越えが安定して続くと判断したときがよいでしょう。

法人の場合は、支払う税金が法人税に変わります。そして法人税は、固定税率ですので、所得や売上に関わらず税率は23.2%にとどまります。

個人事業主として納める税金は所得に応じて税率が変動し最大45%まで上がるため課税所得が多いほど法人化した方がお得になります。その目安となる所得金額が1,000万円というラインを超えるかどうかということです。詳しくは、後ほど解説する法人化のメリットでご紹介していきます。

法人化の前に

法人化の前に

法人化するにあたって、最初は一人で行うのか従業員を雇うのかを明確にさせておきましょう。

自分ひとりの場合は問題ありませんが従業員を雇う場合は設立から3ヶ月以内に役員報酬、社員の給料額を決めなければいけませんので先に決めておいて同時に申請する方が手間は省けます。

下準備をきちんとしておけば無駄が省けますので、事前に必要な項目などを書き出しておきましょう。チェックリスト化することで、やらないといけないことがわかりやすく、準備もしやすくなります。

チェックリスト項目に最低でも下記6つの項目は入れておきましょう。

  • 課税所得が1,000万円以上
  • 法人名、社名を決定する
  • 事業内容を決定する
  • 仕事をもらう先の選定、確保(もしくはアポリスト)
  • 一緒に働く従業員の確保
  • 必要書類

思いついた項目を書き出して、いらないものは削除、必要なものは追加し細かくリスト化しても良いでしょう。

法人化のメリット

法人化のメリット

以前は法人化する際に資本金が1,000万円以上必要でしたが、現在は資本金1円から会社を設立できるようになり、法人化するハードルが大きく下がりました。
そのため「節税対策のために」「自分の会社を持ちたい」などの理由から法人化する方も少なくありません。ここでは、法人化するうえでのメリット・デメリットをご紹介します。

節税対策

法人化するうえで1番大きいメリットは経費計上できるものが増えることなどの節税対策です。

例えば、フリーランスの方が自宅を仕事スペースにしている場合は、使用分のみを経費計上(家事按分)できますが、法人契約で仕事スペースを借りた場合は、家賃の9割近くを経費計上することができます。

固定税率

フリーランスの税金は累進課税ですが、法人税は固定税率になります。

所得が800万円以下 15.0%
所得が800万円以上 23.2%

このように資本金額に関わらず税率は最高23.2%にとどまります。

法人化していないフリーランスの場合は累進課税になりますので、下記のように所得が増えれば税率も上がり、最大45.0%の課税になります。

所得が195万円以下 5.0%
所得が195万円以上、330万円以下 10.0%
所得が330万円以上、695万円以下 20.0%
所得が695万円以上、900万円以下 23.0%
所得が900万円以上、1,800万円以下 33.0%
所得が1,800万円円以上、4,000万円以下 40.0%
所得が4,000万円以上 45.0%

つまり、所得に応じて変わる累進課税(最大45%)と、固定税率の法人税(最大23.9%)では所得が多くなればなるほど法人税の方がお得になります。

役員報酬・退職金の経費計上

法人を設立した代表は、役員報酬として給与や退職金を経費計上できます。つまり、自分自身の給与を会社からもらう形になります。その場合、給与所得控除を除いた金額が課税対象になります。上限額は245万円になりますのでフリーランス時の青色申告で控除できる65万円よりお得になります。

家族を従業員化

フリーランスの場合は一緒に住んでいる方のみ従業員化できますが、法人の場合は遠く離れている親や兄弟・配偶者を従業員化することができます。また、専業主婦や年金生活で収入をもらっていない方であれば、給与所得控除で相殺できるというメリットもあります。

一度支払った給料を生活費として返してもらっても年間100万円までは贈与税がかかりません。ただし、別で働いている場合は副業になりますので適応されませんので注意が必要です。

最大2年の消費税免除

  • 法人設立時の資本金が1,000万円未満
  • 設立1期目の6ヶ月間の売上・給与の支払額が合計で1,000万円以下

上記条件を満たしている場合のみ、法人設立後2年間は消費税が免除されます。

 決算期を選べる

フリーランスの場合は12月(暦年)が決算期と決まっていますが、法人化すれば自分の好きな月を選んで決算期にすることができます。

ただし、注意すべき点は設立日と決算期です。法人設立時の資本金が1,000万円未満の場合、消費税の免除があることを忘れてはいけません。

例えば、設立が2月で決算期を3月にした場合、たった2ヶ月で1期が終了してしまうため、2ヶ月しか消費税の免除を受けることができません。つまり、設立した月の前月を決算期にすると、12ヶ月の免除が受けることができます。なお、一般的には取引先の決算月や年度末に合わせる方が多いようです。また、後から変更することも可能です。

社会的信用

法人を設立することで「会社(法人)」という盾(社会的信用)を得られると、今まで苦労したクレジットカードやローン審査通過や、各金融機関からの融資を受けやすくなり、資金調達の面でもメリットがあります。また、さまざまな事業に対する助成金を受けることができます。

設立時であればちいさな企業未来補助金、新規雇用時であればトライアル雇用奨励金を受けることができます。他にもさまざまな助成金があるうえに、地域特有の補助金制度がある地域もありますので、ご自身に合った助成金を見つけてみてください。

社会保険への加入

保険料が高い国民健康保険ではなく、社会保険に加入することができます。

社会保険では、自分だけではなく従業員や扶養家族も加入することができ国民年金よりも年金額が増えます。また、生命保険においても控除額の上限がなくなるというメリットもあります。

法人化のデリット

法人化のデメリット
メリットをご紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。

設立の手間と費用

準備や設立登記の手続きに膨大な時間がかかるうえ株式会社設立登記時に登記代・印紙代だけでも約24万円が必要となるため準備の段階で挫折する方も多いようです。

面倒を省くために、行政書士や税理士などにお願いする方もいますが、その場合は追加で約10万前後の出費が発生するのが常ですが、フリーランスの状態では、資金集めが難航してしまう場合も多いようです。

法人税の罠(赤字決算)

固定税率のため、所得が多ければ多くなるほど節税になると記載しましたが、実はその逆もあります。

フリーランスであれば赤字の際は税金が軽減もしくは非課税の対象になりますが、法人税はまったく収入のない赤字でも7万円の均等割を負担しなくてはならずこれが「赤字決算」と言われるものです。

経費が増える

フリーランス時に経費計上できるものにプラスして、役員報酬、従業員の給与、退職金、社会保険などの経費が発生します。

このように立替える経費が多いと赤字になりやすいという問題に陥ります。また、売上額や経費が複雑になれば、経理や事務手続きのコストも発生します。

接待交際費の上限

フリーランスであれば、仕事に関わると認められれば経費計上できた接待交際費ですが、法人の場合は上限が定められています。

資本金が1億円以下の場合は会計年度内で800万円もしくは飲食費の50%までを経費計上することができるという上限があります。

廃業時に所得税がかかる

事業を廃止し、法人名義の資金を個人に戻した場合も、所得税と復興特別所得税の予定納税が発生します。

予定納税とは前年の所得税額が15万円以上の場合に、7月と11月に前年の所得税額の3分の1を前払いで納税しなくてはならないということです。これでは、廃業時に掛かる所得と、前払いの所得を二重徴収されているようなものですので、かなり損です。

ただし、予定納税額が高い場合は税務署に申請することにより軽減される場合もあります。

複式帳簿で帳簿作成

法人は会社法431条432条により、複式帳簿で帳簿作成をする必要があります。人力では手間と時間がかかるため、会計ソフトを導入することがほとんどですので会計ソフト費が発生します。

社会保険への加入が必須

フリーランスは従業員が5人以上になった場合は、社会保険への加入が必要ですが、法人の場合は1人以上から加入しなくてはいけません。

保険料の半分は本人・従業員負担、残り半分は会社が負担になります。社会保険に入っていると個人の保険料は安くなりますが、法人の負担額は大きくなります。また、未加入が判明した場合は2年間遡って支払う義務があるのでご注意下さい。

フリーランスのメリット・デメリット

フリーランスのメリット・デメリット
ここまで法人化のメリット・デメリットをご紹介しましたが、今一度フリーランスのメリット、デメリットも簡単にご紹介します。

フリーランスのメリット

  • 時間、場所、仕事内容を選択できる
  • 年収の大幅アップを狙える
  • スキルアップを意識した案件に参画できる

フリーランスのデメリット

  • 仕事(収入)が不安定になる可能性がある
  • やること(契約書の処理や経費管理など)が増える
  • 自分に甘えてしまうことがある(意思の強さが必要)

以上が、フリーランスで法人化をお考えの方へ知ってほしいメリットとデメリットです。

法人化のための手順

法人化のための手順

ここでは、法人化のための手順を大まかに8つ分けてご紹介します。

    • ステップ1:準備期間と場所の確保
    • ステップ2:設立手続き
    • ステップ3:設立登記申請
    • ステップ4:法人名義の口座開設
    • ステップ5:取引先への挨拶
  • ステップ6:給与・社内ルール決め
  • ステップ7:各所への届出提出
  • ステップ8:社会保険・年金の手続き

ステップ1:準備期間と場所の確保

資金を集め、自宅以外で職場を借りる場合は不動産屋に行き、物件を探し、必要書類を集めるなど思ったより時間と労力がかかります。

特に資金集めです。前々から法人化のために資金を貯めておく場合は想定以上に金銭面で負担が発生することが多いため少しでも多めに用意しておくと安心です。

ステップ2:設立手続き

株式会社設立の場合は、社名と事業内容はあらかじめ決めておいてください。フリーランス1人だけでの法人の場合は、屋号を事前に考えておくと楽になります。社名・事業内容が決まれば、資本金振込などを行います。

ステップ3:設立登記申請

所在地管轄の法務局に足を運び、設立登記申請を行います。必要な持ち物は申請書、定款、印鑑証明、資本金振込が証明できる通帳のコピーなどが必要になってきます。

また登録免許税や印紙代や手数料がかかりますので最低でも25万円ほどは用意しておく必要があります。もっと詳しく知りたい方は、法務省をご覧下さい。

ステップ4:法人名義の口座開設

口座開設方法・必要書類は各銀行によって異なりますので、事前に各銀行のサイトで確認しておくとよいでしょう。

持ち物は登記簿標本、定款、印鑑証明、代表印、銀行印に使用する印鑑、身分証明書が必要となってきます。法人名義口座の開設ですが、少々審査が厳しく、資本金が300万以下の場合は断られる銀行もありますのでご注意下さい。

ステップ5:取引先への挨拶

取引先や元同僚、知人に開業案内を出し、少しでも横つながりを先に作っておきましょう。その際には社名(屋号)・開業日時・オフィス所在地・連絡先・簡単な事業内容を明記しておくと良いです。また、この時点で法人用の名刺を作っておくことをおすすめします。

ステップ6:給与・社内ルール決め

法人設立日から3ヶ月以内に給与を決めなければいけません。社会保険料を目安として給与を設定してください。給与の金額変更は1年目の事業年度が終わるまで変更できません。また、給与とあわせて、基本となる社内ルールを決めておくと、従業員を雇った際に説明しやすくなります。

ステップ7:各所への届出提出

税務署と都道府県の税務事務所に届出を行う必要があります。この手続きが完了して、ようやく公に会社を設立したということを明言できます。
フリーランスが法人化した場合は、法人設立日から1ヶ月以内に開業届けを提出する必要がありますので、提出期限に注意ください。従業員を雇用した場合は、一緒に労働基準監督署に届出を行ってください。

ステップ8:社会保険・年金の手続き

法人化した場合は社会保険の加入が義務付けられています。設立後は速やかに管轄の年金事務所で加入手続きを行ってください。詳しくは労働保険事務組合をご確認ください。

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。簡単に決断できることではありませんが、法人化を検討している方の参考になれば嬉しいです。

今回は、会社を設立することを中心に書きましたが、別記事で屋号についてのご紹介もする予定です。また、今回の記事だけでは不安がすべて解消されるわけではありませんので、商工会議所などで相談すると、自分が法人としてどのように活動できるかなどの助言をしてくれますので、迷った場合は頼ってみてください。

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